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「肝炎ウイルスによる慢性肝炎・肝硬変の治療」2017年5月12日更新

1型C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎と代償性肝硬変の治療

はじめに

C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎は、代償性肝硬変を経て、脳症、腹水、黄疸等が目立つ非代償性肝硬変や、肝細胞がんへと進んでいきます。そこで、C型慢性肝炎や肝硬変の初期(Child-Pugh A)のうちに、C型肝炎ウイルスを排除する必要があります。C型肝炎ウイルスは、今ではインターフェロンを使わず、経口薬のみで排除できる時代となりました。

1型のC型肝炎ウイルスには、2016年12月の時点で、1.ダクラタスビル/アスナプレビル、2.レジパスビル/ソホスブビル、3.オムビタスビル/パリタプレビル、4.エルバスビル/グラゾプレビルという4種類の経口薬による治療が可能となっています。

治療前に必要な検査

C型肝炎ウイルスには1型と2型があり、それぞれ治療法が異なりますので、まず血液検査でウイルスの型を調べます。次にすでに肝硬変の進んだ状態(Child‐Pugh B,C)や肝細胞がんになってしまっていないか、血液検査や超音波検査などで調べます。また同時に心電図、腎機能を調べて治療法を決定していきます。

治療法

当院では、1型ウイルスによる慢性肝炎または肝硬変(Child A)では、腎機能障害の有無によってレジパスビル/ソホスブビルやエルバスビル/グラゾプレビルを使い分けています。内服は1日1回で12週間続けます。この際、抗不整脈薬、抗結核薬、抗てんかん薬などの中に併用できないものがあるため、現在服用している薬剤はすべて医師に報告してください。副作用としてレジパスビル/ソホスブビルでは掻痒、悪心、口内炎など、エルバスビル/グラゾプレビルでは肝機能異常、下痢、便秘、倦怠感などがおこることがあるので、治療期間中は定期的な診察と血液検査を受けて下さい。また治療中の授乳は避けて下さい。

慢性肝炎、肝硬変(Child A)の治療終了後12週でウイルスが消失する割合は、レジパスビル/ソホスブビルで95~100%、エルバスビル/グラゾプレビルで96.5~97.1%とされています。治療効果の最終判定は治療終了後24週でおこないますが、C型肝炎ウイルスが消失しても、その後に肝細胞がんが発生することがあるため、5~10年は経過観察が必要です。

助成制度

C型肝炎ウイルスの経口薬は高額ですが、兵庫県から治療費の助成をうけることで、負担を軽くできます。助成申請にかかる診断書を記載する医師は、日本肝臓学会の肝臓専門医か、兵庫県の研修をうけた登録医に限られますが、当院は日本肝臓学会専門医制度関連施設であり、兵庫県肝疾患専門医療機関でもありますので、この診断書を記載することが可能です。診断書をお住いの地域の申請窓口へ提出し手続きしていただきますが、詳細については医事課で説明いたします。

2型C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎と代償性肝硬変の治療

治療法

2016年12月の時点で、1.ソホスビル/リバビリン、2.ヴィキラックス/レベトールの2種類の経口薬による治療が可能となっています。ソホスビル、ヴィキラックスは1日1回内服、リバビリン(レベトール)は体重によって量を決めて朝と夕の2回内服し、ソホスビル/リバビリンでは12週間、ヴィキラックス/レベトールでは16週間続けます。この際、結核、てんかんなどの薬剤の中に併用できないものがあるため、現在服用している薬剤はすべて医師に報告してください。治療中の妊娠と授乳は避けて下さい。

副作用としては貧血が多く、貧血の程度によってリバビリン(レベトール)の量を減らしますので、定期的な診察と血液検査を受けて下さい。ソホスビル/リバビリンではリバビリンを継続できなくなれば治療は中止しますが、ヴィキラックス/レベトールではレベトールを中止してもヴィキラックスのみを継続できます。ソホスビル/リバビリンの場合96.4%、ヴィキラックス/レベトールの場合2型のうち2aタイプの93.8%で治療終了後にウイルスが消失したとの試験結果が得られています。治療効果の最終判定は治療終了後24週でおこないますが、C型肝炎ウイルスが消失しても、その後に肝細胞がんが発生することがあるため、5~10年は経過観察が必要です。

B型肝炎ウイルスによる慢性肝炎と肝硬変の治療

治療法

自然経過で非活動性キャリアへの移行が期待できる場合は経過を見ることもあります。 インターフェロンによる治療は副作用等の短所はあるものの、2割くらいの方で薬剤を中止できるという長所があります。そこで年齢や肝臓の線維化の程度を考慮して、適応があれば、1週間に1回の注射で済むペグインターフェロンα-2aを48週間続けます。

インターフェロンが効きそうにない場合や、インターフェロンが効かなかった場合は、ウイルス量を低下させるため、エンテカビルまたはテノホビルの1日1回の内服を開始します。新しい薬剤であるテノホビルは、従来の薬剤に抵抗性または無効例に対しても有効、また胎児への安全性が比較的高いといった長所があります。腎障害などの副作用を起こすことがあるため、定期的な診察と血液検査が必要です。

経口薬は中止すると肝炎再燃の危険性があるため、基本的には生涯にわたり服用することになります。ただし服用を続けるうちに十分な効果が得られた場合には、まずインターフェロンを併用し、その後インターフェロンに置き換えてから、安全に治療を中止するという方法が試みられることもあります。

2017年5月
神戸アドベンチスト病院 消化器内科