循環既疾患の紹介

微小血管狭心症


微小血管狭心症とは

 狭心症は心筋に血液を供給している冠動脈が狭くなり十分な血液が送れなくなった時に生じます。これには従来、血管内にプラークといわれる脂分が蓄積して狭くなる労作性狭心症と血管はきれいだけど血管が「けいれん」して狭くなる冠れん縮性狭心症の2種類がありました。これらはいずれもニトログリセリンが有効なことから、これまでニトロがきかない胸痛は狭心症ではないと考えられ、心臓神経症とか肋間神経痛と診断されることもありました。 ところが第3の狭心症としてニトロがききにくい微小血管狭心症の存在が知られています。
 冠動脈造影で見える冠動脈は本幹が3mm程度、小さい枝で0.3mmですが、それ以下の細かい心臓の筋肉の中を走る血管に痙攣が起こるものです(図1)。微小血管狭心症は大きな血管が詰まるわけではないので、命には直接かかわりませんが、なかなか診断がつかず病院を転々とする方もあります。

図1 心臓をとりまく冠動脈が枝分かれを繰り返し、最終的に微小血管となって心臓の筋肉に血液を運ぶ

微小血管狭心症の症状

 1. 胸部圧迫感   2. 針でさすような痛み  3. 息が詰まるような痛み  4. 締め付けられるような痛み
 微小血管狭心症の症状は上記のように人によって異なります。一般的な狭心症との違いは、1)通常の狭心症よりも持続時間が長い 2)起きる間隔が長い ということがあげられます。通常の狭心症は4〜5分もすれば痛みが消えるのに対して、微小血管狭心症の痛みは10分、20分、人によっては半日以上続くこともあります。痛みが起こる頻度は、人によりますが3か月に一回くらいが最も多いパターンです。中には1年に1回しか起こらない人、又、何回も起こる人もいます。
 痛みの程度もさまざまで、鈍い痛みの時もあればしゃがみこんでしまうほど強い痛みを感じることあります。その痛み方も毎回同じではありません。微小血管狭心症は読書や就寝中など、安静時に起こりやすいものです。 さらに、良く知られている狭心症の一般的な薬に「ニトログリセリン」は、細い血管を拡張しないので微小血管狭心症に効果がない場合が多々あります。

微小血管狭心症と女性ホルモン(エストロゲン)の関係

男性に多い狭心症では、心臓表面の太い血管が動脈硬化で詰まって起こりますが、微小血管狭心症では心臓の筋肉(心筋)の中を走る細い血管が異常に収縮して狭くなるこで起こります。 この、血管が狭くなってしまう原因に、深く関係しているのが、女性ホルモンです。女性ホルモンは、45歳〜55歳の閉経前後に急激に減少する、いわゆる更年期と呼ばれる時期であり、この更年期に微小血管狭心症は起こりやすいと言われています。
 早い人では30歳代ではじまり、60歳代後半になってからが多数をしめます。 この年代の女性の10〜20%が、微小血管狭心症が原因の胸痛を経験しているとみられています。閉経前の女性には、男性によくみられる狭心症がほとんど起こらないのは、エストロゲンの血管を拡張させる働きのためです。

タバコは厳禁

 タバコを吸っている女性、糖尿病の女性には、エストロゲンの保護作用はなく動脈硬化が進行してしまうことがあります。女性の場合は喫煙が特に高い危険因子となっています。

治療

 血管拡張薬のなかのカルシウム拮抗薬が有効な場合が多いです。へルベッサーやワソランという薬を使用します。また、ニトログリセリンが有効な場合はこれも併用します。



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