循環既疾患の紹介

心房細動

脳梗塞と動悸を慎重に予防する薬物治療とカテーテルアブレーション

心房細動とは?

 心房細動とは文字通り心房が細かく振るえる疾患で、1分間に350〜600という高頻度の電気刺激が心房内に飛び交います。このような心房は中の血液がよどんで血栓ができやすくなります。また、突然頻拍となり動悸や胸苦しい症状のため救急車で搬送されることもあります。心房細動は年齢とともに増加しますが、若い人にもみられる疾患です。

心房細動が起こす困ったこと

【脈の乱れ】
  • 脈がはやくなりやすい(動悸)
  • まれに遅くなる事も(失神)
【血栓】
  • 心房内血栓が生じやすい
  • 脳梗塞など血栓塞栓(3〜5%)
【心不全が悪化しやすい】
  • 心拍出量が25%低下
  • 心機能の低下による頻拍で心不全になりやすくなる。
  • 時間がたつほど不整脈がさらに固定しやすくなる。
【抗不整脈薬による副作用】
  • 心房細動を止める薬には副作用が起こりえます。(特に初期投与に注意)

心房細動の治療 (心房細動の治療いの三本柱)

 @除細動
高度頻拍で心不全を合併しているような時は電気ショックを行うこともあります。薬剤は、緊急時に点滴、それ以外は内服治療を行います。薬剤は副作用に特別な注意を必要としますので、これに精通した医師によって開始されます。2日以上時間が経った心房細動をやめる時は、血流の正常化とともに血栓が飛んで脳梗塞を起こす事があるのでワルファリンを充分効かせてから施行します。
 A心拍数コントロール
心房細動はそのままとして、頻拍のコントロールのみを行う治療も長期予後が比較的良いことから注目されています。

【β遮断薬】
  • メインテート
  • テノーミン
  • ロプレソール
  • アーチスト
 B血栓予防
心房内で形成された血栓が心臓から飛び出すと、脳梗塞をはじめ全身のいたるところにつまる怖い血栓塞栓症を引き起こします。その予防にワルファリン療法が選択されます。(僧帽弁狭窄症と人口弁術後の人では必須です。)最近、血栓のリスクを点数化するCHADS(チャッズ)スコアが導入され、2点以上でワルファリンを「推奨」、1点以上で「考慮」とされています。
ワルファリン療法を使う場合は、70歳未満でINR2.0〜3.0でのコントロール、70歳以上では、1.6〜2.6でのコントロールが推奨されています。
アスピリンは冠動脈血栓塞栓に重要な薬ですが、心房細動の血栓予防に対しては出血のリスクを上回る利点がないことからこの例外を除いて使用されなくなりました。(心臓、脳動脈の疾患を併せ持つ人には使用されます。)

カテーテルアブレーション

医療が発達して心房細動の対応に色々選択肢ができた分、患者様にベストの治療を提供するためには様々な配慮が必要になってきました。今日、薬物の限界もあり、非薬物療法のカテーテルアブレーションが実績をあげています。

【薬物治療の限界】
  • 洞調律維持が年々困難になる。
  • 心房細動で頻拍になると心不全を起こしやすい。
  • 薬剤の副作用で他の怖い不整脈を誘発することがある。
  • 急激な頻拍発作をコントロールできないことがある。
  • ワルファリン量の調節が難しい。
【薬物以外の治療】
心房細動の発生と維持に、左房に注ぎ込む4本の肺静脈が深く関連していることが分かりました。ここをカテーテルで50度ほどに焼灼すると70〜90%の値で心房細動の予防ができることがわかってきました。この治療方法をカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)といい、薬物治療の限界をこえる治療方法として現在注目されています。
【アブレーションの適応と成功率】
  • 動悸などの症状がある
  • 心房細動になっている期間が短い(5年以内が望ましい)
  • 左房がそれほど大きくない(45mm以下)
  • 年齢75歳未満
【治療の順序】
  1. ワルファリンやヘパリンで左房内血栓を予防します。
  2. 必要に応じて経食道エコーで心房内に血栓が無いことを確認します。
  3. 鼠径部と頸部から浅い位置に走っている静脈に局所麻酔をし、痛みの無いようにしてからカテーテルを挿入します。
  4. 電気的に座標を作って場所が確認できるようにし、不整脈の起源となっている部位を焼灼します。
  5. 焼灼部位の温度管理を行い、安全性を確認して施行します。
  6. 処置にかかる時間が約2〜3分です。
カテーテル検査


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