循環既疾患の紹介

失 神

失神の定義

 失神とは突然意識を失い、転倒やけいれんなどがおこる状態のことです。意識を失う原因の多くは、脳の血流が低下し、酸素が脳へ十分に運ばれないことです。すぐに意識が回復しても脳や心臓に大きな障害が隠れていることがあり,突然死に結びつくものもあるため注意が必要です。

失神の症状

 失神は前兆としてふらつき感、動悸、吐き気、冷や汗、あくびを伴うものもありますが、歩行中や運転中など活動中に突然生じ、大けがや事故につながりうるものがあります。

失神の原因と治療法

 失神の原因は神経調節性失神とよばれる自律神経のアンバランス、不整脈によるものが最も多い原因です。次いで脳血管性失神が続きます。また検査を受けても原因がわからないものが約20%くらいあると言われています。神経調節性失神は活動時に脳と筋肉に大量に配分されている血流が、胃腸や排便、排尿等、自己を養う臓器に配分がシフトする時に生じます。従って、食後、排泄時および嘔吐下痢等何らかの原因で胃腸の活動が高まっている時に失神が起こります。また、頸部に自律神経の重要なセンターが存在することから頸部の圧迫、首をのけぞっての洗髪などで起こることもあります。
【ホルター心電図】
胸に5つ電極付きシールを貼りつけ24 時間の心電図を記録する検査です。入院せずに自宅での検査が可能です。この間、入浴は出来ませんが,通常の仕事や軽いテニス程度の運動も可能です。翌日、病院で装置を取り外します。短時間の心電図検査よりも、不整脈などの症状があるときの心電図が記録できる可能性が高まります。
 発作の頻度が数週間に1度くらいしかない場合は、検査の24時間内に発作の現場がとらえられずに不十分な検査に終わることもあり、この場合は植え込み型ループ心電計が威力を発揮します。 図1はふらつきの患者さんでホルター心電図がとらえられた高度徐脈です。はやい脈と極端に遅い脈が交互に起こって気を失いそうな症状がでました。 (森 経春著 心電図再入門 南江堂から)
【ヘッドアップチルト検査】
角度が変えられる検査台に横になり検査台を60度の角度に保ち、失神が誘発されないかを調べます。同時に血圧と心電図測定をします。神経調節性失神や起立性低血圧の診断によく使われます。原則入院して行います。 
【植込み型ループ式心電計】
植込み型ループ式心電計は心臓を継続的に監視するもので体内に記録装置を植え込みます。パソコンのメモリースティック状のバーを2cmほどの簡単な切開手術で胸部の皮下に入れます。手術は簡単でおできを切開する程度です。装置は常に心臓の活動をモニターしていて、不整脈が起きた時に自動的に心電図を記録します。 皮下に入れた後は胸に電極を貼る必要もなく、創部が安定したあとは入浴も含めて普段通りの生活をすることができます。装置は最長3 年間動作するので、症状が出る頻度が少なくても、失神が再発した時の心電図を記録できる可能性が高くなります。診断ができた後や不要になった時は、再び簡単な切開で体内から装置を取り出します。 植込み型ループ式心電計は 欧米では10年以上前から使われていますが、最近、日本でも原因不明の失神検査のために使用できるようになりました。

植込み型ループ式心電計を使った診断

 記録された心電図は医師が専用の装置を使って読み出し、分析します。無線通信で心電図を読み出すため、皮下のループ式心電計を体外に取り出す必要はありません。
 失神が起きたときの心電図を見ることで、失神が心臓の病気に由来するものか、心臓以外に原因があるのかの診断ができ、原因に応じた治療を行うことができます。
これまで失神の原因がわからないままの方には是非お勧めいたします。





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