慢性肝炎の新しい治療法
神戸アドベンチスト病院 消化器内科 水間美宏
【ピロリ菌とは】
胃の中には、食物を消化するための強い胃酸があり、ここに住める細菌がいるとは誰も思いませんでした。ところが約20年前、オーストラリアの医学者が、胃の中にピロリ菌という細菌を発見したのです。この細菌はウレアーゼという酵素でアンモニアをつくり、胃酸を中和することによって、自分の体が酸で溶けないようにします。また,鞭毛が生えていて、これを回転させ、住みやすい場所を求めて泳ぎます。その後、ピロリ菌が原因で、潰瘍などの病気がおこることも判ってきました。菌は口から胃の中に入るようですが、詳しい道筋はまだ判っていません。
【治療】
胃・十二指腸潰瘍の治療として、その原因であるピロリ菌を殺す治療(除菌)が、2000年11月から、健康保険を使ってできることになりました。潰瘍のくすり1種類とピロリ菌を殺す抗生物質2種類、全部で3種類のくすりを1週間かけて服用し、そのあともしばらく潰瘍のくすりを続けます。この方法で、8〜9割の人の胃からピロリ菌がいなくなります。除菌をしないと、6割くらいの人で潰瘍が再発しますが、除菌をすればほとんど再発しなくなり、再発防止のくすりを続ける必要もなくなります。ただし、2割くらいの人で、一時的に、下痢、発疹、味覚異常などがおこり、時には除菌を中止せざるを得ないこともあります。
【検査】
胃・十二指腸潰瘍があれば、ピロリ菌の検査も健康保険を使ってできます。まず、内視鏡検査(胃カメラ)で潰瘍があることを確かめ、その時、胃の粘膜の一部をとって試験液の中に入れます。
ピロリ菌が出すアンモニアで試験液が赤く変われば、ピロリ菌陽性です。この検査を「迅速ウレアーゼテスト」と言います。その他、「血清抗体測定」、「尿素呼気試験」などの検査法があります。いずれの場合も、最初に内視鏡などで潰瘍があることを確かめます。
【ピロリ菌のこれから】
健康保険を使って検査、治療ができるのは、今のところ胃・十二指腸潰瘍だけです。しかし、ピロリ菌は、胃炎、胃癌、胃悪性リンパ腫、慢性じんましん、心筋梗塞などの原因になるとも言われています。将来は、これらの病気の治療にも、健康保険を使って、ピロリ菌の除菌が行われるようになるかもしれません。
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